2021年にDTMサウンドクリエイター速習コースを卒業生され、現在は大手ゲーム会社にてサウンドクリエイターとしてご活躍されている小林雄之介さんにインタビューさせていただきました!
―――入学のきっかけは?
高校卒業後は就職予定で内定をいただいていたのですが、病気で入院することになり、決まっていた内定も取り消しになってしまいました。しばらくアルバイトをしながら、将来何をしようか考えていました。
僕は幼い頃から病気があって、外で友達と走り回ったりすることがなかなかできませんでした。小学3年生の1年間は丸々入院をしていたこともありました。そんな僕にとって遊びといえばゲームです。圧倒的にゲームをして過ごす時間が多かったんです。はじめてのゲームはファミコンで、ポケモンやスマブラからはじまり、段々とファイナルファンタジーやドラゴンクエストなど、リアリティな世界観のゲームにどんどんハマっていきました。
また、僕の父がゲーム音楽エンジニアだった影響も大きいと思います。ゲーム音楽エンジニアというのは、サウンドクリエイターが作った曲や音を、実際のゲームに落とし込んでいく仕事です。
当時、北海道に住んでいましたが、神奈川の病院に通院するために引っ越す必要があり、父が一緒についてきてくれました。家族の中では一番長い時間を父と過ごしました。フリーランスとしても活動していた父は家で仕事をしていることが多く、家の中でゲーム音楽や効果音が鳴っているような環境だったんです。そんなゲーム音楽を自分でも作れたら楽しそうだな、とその頃からサウンドデザインや作曲という「曲をつくる」ことに漠然と魅力を感じていました。
父は既に他界しているのですが、亡くなる時に「サウンドクリエイターを目指してはどうか」とアドバイスをしてくれました。さらに、父が構想を練ったゲームの企画書を僕にくれたんです。それから僕の生涯目標が、この父からもらった企画書のゲームを実現させることになりました。
それからスクールを調べてバンタンを見つけて、すぐに入学を決めました。
―――もともと音楽がお好きだったのですか?
僕はもともと楽器も弾けませんし、音楽の授業も嫌いな子供でしたが、父の影響でメタル音楽をよく聴いていました。“曲を作る”という視点では、大人になってクラブでDJをしたり、父の仕事を間近で見ていた経験からPCを使ってデジタルサウンドを作ることに興味が強くなっていきました。
―――印象に残っている授業は何ですか?
講師の自宅兼スタジオにうかがうことができたのが、とても良い機会になり、こうやって仕事しているのか!とリアルな将来像をイメージすることができました。そこは一軒家の中に自宅と防音室(スタジオ)があったのですが、その環境がとても素敵で。実は僕も先日、郊外の一軒家に引っ越して防音環境を整えたところです。
山本講師のアレンジの授業は難しくて、まず専門用語を理解するところから大変でした。持ち帰って自分でも調べて、わからなかったところは次の機会に講師に質問して、どんどん自主的に動いていきました。大変でしたが、能動性をもって学んでいくことの大切さを学ぶことができました。アレンジは最終的なサウンド完成の要になるプロセスなので、プロレベルでのコミュニケーションやスキルが実感できて良かったです。
逆に新留講師のサウンドクリエーションの授業はとても丁寧にかみ砕いてくださり、わかりやすく教えていただきました。また、僕と同じメタル好きという共通点があり仲良くしていただき、今も交流があります。
どの講師の方からも素晴らしいノウハウを学ぶことができましたし、クラスメイト同士も仲が良く、卒業後も連絡を取り合って情報交換をしています。
―――学びを検討されている方にバンタンの授業はオススメできますか?
そうですね。バンタンに入学して思った一番のメリットは、プロクリエイターとしての生き方を教えてもらえたことです。正直、ソフトの操作方法だけを学びたいのであれば、本やインターネットを調べればいくらでも情報が得られる時代です。授業ではLogicというソフトを使っている方が多かったのですが、僕はWindowsのPCでCubaseを使っていました。授業はLogicで進むので、操作方法が異なる部分は自分で調べながら進めていきました。ソフトの種類はあまり関係ありません。それ以上に、「それをどうやって活用していくのか」「どんなサウンドを生み出すのか」「いかに仕事に繋げていくのか」の方がとても重要です。バンタンではスタジオ実習を含めた実践的な授業の中で、プロクリエイターの方々が講師として、表も裏もリアルな音楽業界の情報を共有してくださりますし、自分たちが色々試してみて得られたノウハウを教えてくれる環境がとても良かったと感じています。
―――就職活動の様子をうかがえますか?
まずはゲームサウンドといえば一番に思い浮かぶ会社に挑戦してみようと思いました。こういうと、とても思い切りの良い性格に思われるかもしれませんが僕自身はとても慎重な性格です。まずはこれをやってみて、ダメだった場合はこうして…と常にいくつかの代替案をもちながら動いています。幸運にも1社目で内定をいただきました。
応募の際には曲を3種類、効果音を約120種送りました。日々、採用担当の人はたくさん応募された曲を聴いているので、長すぎても聞いてもらえません。ですので、特に最初の10秒に気合いを入れて作りました。効果音については、口だけを使ってすべて作りました。おそらく印象に残ってくれたのではないかと思っています。
―――現在のお仕事について教えていただけますか?
現在は、1社目で内定をいただいた会社で働きながら、フリーランスとしても依頼を受けてサウンドクリエーションをやっています。僕の会社はフルリモート勤務なので、個人的には外に出てカフェなどで作業することが多いですね。ノートPCといくつかの機材があれば、どこでも仕事ができるので、常に機材一式を持ち歩いて、良いメロディーが思い浮かんだら忘れないうちに近くのカフェに入って、そのまま5時間以上夢中で作りこんでいることもしばしばです。
クリエイターの仕事は副業・兼業がOKな場合が多いので、知人のキャラクターデザイナーやイラストレーターの方々も複数の仕事を並行している人が多いです。フリーランス活動との兼業もうまく両立しながら柔軟性のある働き方ができています。
―――小林さんの曲づくりについて教えてください。
5分程度の曲であればおおよそ2時間程度で制作します。もともと制作スピードは早い方だと思います。今の仕事だと、“すぐに欲しい”という場面も多々ありますし、そこでクイックに対応できれば採用してもらえるチャンスなので、常にストックを持っておくように心がけています。曲であれば10曲以上、効果音であれば300程度でしょうか。自分の性格的にも予め準備をしておきたいので、時間があるときはストック用の曲をつくっています。
―――小林さんがつくるサウンドはどのような特徴がありますか?
楽器の組合せに意外性を持たせたり、変拍子にしたり、常に驚きを感じてもらえるようなクリエーションを心掛けています。1曲まるまる聴いたときに飽きずに聴いてもらえるようにというのは意識しています。
―――サウンドクリエイターの仕事のやりがい・魅力は何ですか?
自分が担当したゲームサウンドがTwitterなどSNSでの反応が良かったときは素直に嬉しいですね。批判的な意見があがったときは反対に辛いのですが。笑 自分の作品が採用されたということは、実力が認められたということでもありますし、もちろん評価や収入にも結びつくのでモチベーションにもつながります。
また多くのクリエイターにとって、携わったゲームや作品などに自分のクレジットが掲載されるのは一つの目標であり、魅力のひとつではないでしょうか。
―――最後に、これから挑戦してみようと考えている方へメッセージをお願いします!
好きなことに熱中して、しがみついてください。
もちろんすべてがうまく行くわけではありませんが、諦めなければきっと夢は叶います。
ありがとうございました!!!
【PROFILE】
小林 雄之介(こばやし ゆうのすけ)
アルバイトをしながらバンタンデザイン研究所 キャリアカレッジ サウンドクリエイター速習コースに通学。卒業後の就職活動を経て、大手ゲーム会社にサウンドクリエイターとして所属。並行してフリーランスとしても活躍中。