22.07.17 24.04.04 更新

祝!「JAGDA国際学生ポスターアワード2021」入選。バンタンデザイン研究所キャリア カレッジ卒業生の林さん&松田さんに、制作秘話をインタビュー!

学生インタビュー
東京校

バンタンデザイン研究所キャリアカレッジでは、在学中から業界で通用する実践的スキルを身につけます。

 

今回は、「JAGDA国際学生ポスターアワード2021」に入選し、2021年9月にご卒業されたOBメンバー2名にインタビューしました。

 

 

 

 

右:松田 喬史さん(28)(グラフィックデザイン総合コース卒業)

 

左:林 凌平さん(27)(アートワーク&イラストコース卒業)

 

 

───作品について教えてください。

 

松田さん「コンペティションの課題テーマは『MOVE』でした。今日は、縮小版をお持ちしましたが、実際はB1サイズ(728mm×1,030mm/タテのみ)です。

 

作品には、MOVEの文字を入れるという指定がありました。

 

自分の作品は2つで、1つは連作です。連作の方は『擬音』という作品タイトルで、

 

自分は漫画が好きなので、オノマトペをデザインに落とし込んだら面白いのではないか?と発想しました。

 

 

 

 

『ドドド』という擬音のほうは、マグマから火柱が上がっている状況をイメージしています。

 

 

 

 

 

 

『ヒュー』は、冷たい風が吹いている様子や、感情的に暗く切ない感じを表しました。

 

どちらの擬音も、見たときの解釈を受け取り手に委ねたいので、あえて擬音以外の要素を削ぎ落として抽象的なイメージにしました。

 

 

 

 

もうひとつの作品は『フォルテシモのための交響曲第6番ハ長調作品24』というタイトルです。

 

自分はバンドをしていて音楽が好きなので、日常の中で見慣れた音符を肥大化させたり、動きをつけたりして羅列しました。

 

見慣れている音符も全く違う形に見えてくるので、作っていて面白かったですね。

 

個人的には、好きなものからデザインに落とし込んだほうが、モチベーションが上がります」

 

 

 

 

林さん「『苦笑ひをする人だ』は、表面的に見える顔と、内心の感情とが一致していない様子を描きました。黒子が笑顔を表現しているけれど、この人自身、本当は笑いたくなんかない様子を風刺画にしています。

 

 

 

 

『養分を求めて』は、こういうキャラクターを描くのが好きなので、まず大量に描こう!というところから始まりました。キャラを大量に描いていくと、小腸の内壁・柔毛に似て

 

いると思いました。また、生物が群れて活動する姿と掛け合わせ『養分を求めて』としました。近くで見るのと、俯瞰的に見るのとでは見え方が違うので、その辺りも楽しんでいただけたら嬉しいです」

 

 

───制作期間は?

 

松田さん「2021年7~8月半ばまで、授業の課題として進めてきました。特に安来講師には、丁寧に指導していただきました。進捗確認では、クラスメイトの作品も見ることができました。自分にはない面白い発想が多かったですね」

 

林さん「僕も、ラフから完成まで1カ月間ほどです」

 

 

───受賞したときのお気持ちはいかがでしたか?

 

松田さん「素直に嬉しかったです。二作品揃って受賞したので、自分の好きなものが認められて良かったなという気持ちです。また、入選作品の展示を見ましたが、自分とコンセプトが被っている人はいなかったので、好きな方向性で制作したことが間違っていなかったと思いました。」

 

林さん「月並みですが、良かったです。入選は100名以上いるので、あわよくば選ばれるかな?と期待していました。金賞など上位までいけなかったのは悔しいです。上位入賞者は、『このメッセージを表現したいから技を駆使した』という印象があり、メッセージ性も強かったです。他の入賞者は『もてるスキルの中から描いている』気がしたので、その気付きも今後に活かせたらと思います」

 

 

───応募したキッカケについて教えてください。

 

林さん「コンペには色々な種類がありますが、JAGDAは有名なデザイナー、アーティストが所属されている団体で、業界でもとても有名です」

 

松田さん「箔をつけるためにも、いい機会だと思いました」

 

 

───難しかった点は?

 

松田さん「テーマの解釈です。MOVEから、モノが動く様子は誰でも思いつきます。なので、どんな側面からMOVEを捉えたら新しいのか?を考えるのは難しかったです。制作過程では、講師に『これは、他の人も思いつく安易な発想だよ』と指摘されることも。自分は、MOVEから想像されるワードを書きだし、マインドマップを作りました。

 

 

 

 

マインドマップを作る人も一定数いるので、意外と安易なアプローチだったのかもしれませんが……。感覚でパッと作るデザインがいい人もいますが、自分としては、いろんな側面から少しずつアイデアを深められるこの導き方が良かったと思います」

 

 

 

 

林さん「MOVEという言葉の幅が広く、どこから始めたらいいか……と悩みました。最初は考えて作ろうと思い、アイデア出しもやりましたが、いざ机に向かうとアイデアが浮かばなくて。自分は感覚で作るタイプなので、手を動かしながら描きたいことを描き、後から理由付けをしました。特に『養分を求めて』は、講師に『よく分からない』とフィードバックされました。『それでもいい』と割り切り、反発心で応募して良かったと思います。言うことを聞いてばかりだったら入選はなかったと思うので、自分の感覚を信じることも大切。最終的には、自分が納得のいくものができたと思います」

 

 

───バンタンデザイン研究所キャリアカレッジに入学したキッカケは?

 

松田さん「自分は前職がエンジニアで、プロジェクトマネージャーをしていました。ですがもともと絵を描くことや視覚的表現に興味があり、自分で表現したものを仕事にしたいと思っていました。在職中に色々考えているうちに、グラフィックデザインは社会の役に立ち、自分の表現も突き詰められそうだと感じました」

 

 

───入学されたとき、お仕事は続けられていたんですか?

 

松田さん「入学時は、退職して背水の陣の状態でした。正直1年間通ってスキルを身につけても、『就職できるのか?』という不安や迷いはありました。1年の学びだけでは、美大出身の人や、デザインの力で叩きあげてきた人には及ばないのでは?と思い、自分なりにどういう仕事に可能性があるかを考えました。僕は文学部出身なので、編集力と合わせてデザイン力をアピールし、複合的に見てくれる会社を中心に就活しました。前職のプロジェクトマネジメントの経験も評価されましたね。2021年12月に本のデザイン制作会社「株式会社デジカル」に転職し、本のデザインだけでなく編集業務にも携わっています。ポートフォリオにJAGDAの入選作品を入れられたので、頑張ったことが実ったと感じます」

 

 

───なるほど。林さんが、入学されたキッカケは?

 

林さん「僕は会社員で、ウェブデザインの仕事をしています。ただ、コロナ禍になってから仕事が減り、しばらく停滞していました。このまま成長が止まるのは良くないと思い、土日ちょっとでも勉強できることはないか?と探して辿りついたのがバンタンデザイン研究所キャリアカレッジでした。仕事は続けながら通える点と、デッサンなど基礎的な表現力を磨けることに魅力を感じました。今も副業で、キャラクターやマスコットを描く仕事をしています。なので、イラストのスキルを磨けたのは良かったです。一人でやろうと思ってもできるタイプではないので、仲間がいたことで制作のモチベーションも保つことができました」

 

 

 

 

林さん:授業で制作。「セラミック スタッコ」という画材を使って、マットな質感を表現。

 

 

 

 

松田さん:日本画家・渡邉貴裕講師の授業で制作。布や紙でコラージュした作品を、リングカードの絵本に。

 

 

───バンタンデザイン研究所キャリアカレッジの授業が役立っていると感じる点は?

 

松田さん「JAGDAのコンペティションで学んだ、アイデアや考えを形に落とすプロセスは、他の仕事にも汎用性があると思います。ポスターでもウェブデザインでも考え方は似ている部分があるし、今自分が取り組んでいるブックデザインの仕事でも役立っています。

 

もう一つ、イラストレーションのコースで、パステル画を描く授業があったんですが、初体験から『これは好きだな得意だな』と感じました。新しい画材を使って描くことは、一人ではなかなかできないことだと思うので、授業でやれて良かったです。今は、パステル画を中心にイラストを描いています」

 

林さん「どういう風に考えるのか、を学べたこと。また、コンセプトが理に適っているかどうかを精査する、という視点を持つことができました。表現においても、『線ひとつで個性が出る』、『絵の具も色々な質感がある』、『画材の選び方によっても雰囲気が異なる』など、アナログな仕事をするうえで大事なことを教えていただきました。自分の作品に自信がありませんでしたが、仲間たちに意見をもらったり、イラストを褒めてもらったりするうちに少しずつ自信を持つことができました」

 

 

 

 

───講師が、現役クリエイターで良かったと感じることは?

 

松田さん「実際に仕事をしている講師や、大学で教えている講師が、『仕事として通用するにはどうしたらいいか』を重点的に教えてくれるのが強みだと思います。表現技法だけでなく、デザインを仕事にするためにどうしたらいいかを解説してくれるのは、現役でご活躍なされているからこそだと思います」

 

林さん「あとは、情報が新しいですよね。日本画家・渡邉貴裕講師は、画材のこと、取り扱うお店の情報などを教えてくれました。プロフェッショナル講師の常に学び続ける姿勢にも、刺激を受けました」

 

 

───入学を検討されている人がいたら、バンタンデザイン研究所キャリアカレッジをオススメしますか?また、オススメしていただける場合、どのような理由でしょうか?

 

松田さん「色んな職種、考え方を持っている人が学んでいて、同じ課題に取り組んでいます。自分には無い発想を知れるし、日々の生活にもハリが出ます。もしも今の仕事に悶々としているなら、仕事を続けながら通って見るのもありだと思います。自分の場合は、会社を辞めてしまいましたが……辞めずにリスクヘッジをしながら通うこともできます」

 

 

林さん「日曜だけの授業なので、仕事をしながらの人、大学で学びながら通う人もいました。キャリアに悩んだときに挑戦してみようという気持ちで入学するのもアリだと思います。なんとなく諦めてしまうのではなく、講師や仲間と情報交換しながら自分の進路について考えられるので、オススメします」

 

 

───今後の目標について教えてください。

 

松田さん「本が好きなので、最終的に一冊の本を、デザイン、装丁、挿絵などすべて手掛けてみたいです。趣味でイラストを描いているので、イラストレーターとしても活動していきたいですね。趣味でも仕事でも、自分の好きなことを形にしていけたらと思います」

 

 

 

林さん「僕もウェブデザインの仕事を本職として続けています。いずれは、部分的なデザインではなく、サイト全体のアートディレクションも含めて、トータルでデザインしていきたいです。クライアントさんも、航空会社から飲料メーカーまで幅広いのでやり甲斐があります。イラストやキャラクターを描くことは、副業として続けたいです」

 

 

 

 

───イラストをメインにされない理由は?

 

林さん「大企業に入ると、やりたいデザインができないのでは?という懸念があります。イラストにおいて守りたい部分があるので、自分が好きなものを自由に表現できるフリーランスが合っています。フリーのイラストレーターとしてクリエイターEXPOのようなイベントにも参加するつもり。『ココナラ』にも登録していて、既に10件ほどお仕事を依頼されています」

 

 

 

 

 

 

 

インタビュー後には、グラフィックデザインコースの在校生で、今年のポスターアワード入選を目指す筑紫さんにアドバイスもいただきました!

 

ご入学前の説明会の際に「デザイン業界で活躍していく上で、まずはポスターアワード入選を目指したい!」と話してくださった経緯もあり、今回のインタビューに参加いただきました。

 

先輩達からの貴重なアドバイスを糧に、今後の筑紫さんのご活躍にも期待しております!!

 

 

<アートディレクター/デザイナー 安来明宏講師の評価は……>

 

在学中に授業を担当していた安来講師にも、お話をうかがいました。

 

安来講師「松田さんはガンガン質問してくる人でした。アイデアをたくさん持ってきて、話をしながら作品を作っていくタイプ。こちらがアドバイスすると2倍にも10倍にも伸びるタイプでした。対して、林さんは観察タイプです。ガンガン質問するというよりも、他の受講生のやりとりをよ~く見ています。他の人への助言を聞き、自分の頭の中で反芻し、構築していくタイプ。二人の共通点として、積極的にチャレンジしていたことがあります。アイデアスケッチもしていましたし、熱心に行動していたのが結果に繋がったと思います。

 

また、クラスメイトの存在も大きく、例えば授業で『アイデアチェック』をする際、受講生の制作途中の作品を見て、クラスメイト同士でアドバイスや感想を言い合う機会もありました。この様な機会も彼らの作品にいい影響を与えたと思います。僕自身も、『入選が多いかも!』と希望を持てる、手応えのあるクラスでした。切磋琢磨する雰囲気だったことは、クラス全員にとっても幸運ですよね。受講生が一人歩きを始めると、講師は手を出す必要がないんですよ。自分たちで離陸するエネルギーを蓄えて、頑張っていました。卒業されて忙しいと思いますが、またいつでも校舎に遊びに来てください」とメッセージ。

 

 

 

 

 

松田さん、林さん、改めましてご入選おめでとうございます!

 

 

【PROFILE】

 

林 凌平さん

 

愛知県出身。2018年宮城大学デザイン情報学科卒業後、Web制作会社に入社し、Webデザイナーとして勤務。

 

2020年10月バンタンデザイン研究所キャリアカレッジに入学し、現在はイラストレータとしても活動中。

 

 

■Instagram

 

https://www.instagram.com/royuhei/

 

 

■受賞歴

 

JAGDA 国際学生ポスターアワード2021 入選

 

 

 

松田 喬史さん

 

東京都出身。慶應義塾大学卒業後、決済系システムの会社に就職し、システム開発のプロジェクトマネジメントを行う。

 

2020年に退職し、バンタンデザイン研究所キャリアカレッジに入学。

 

現在は都内の書籍デザイン制作を行う会社に就職しブックデザイナーとして働きつつ、イラストレーターとしても活動を模索中。

 

 

■Instagram

 

https://www.instagram.com/kakato5454

 

 

■受賞歴

 

山口芸術短期大学デザインコンペ2020 秋川牧園賞

 

JAGDA 国際学生ポスターアワード2021 入選

 

特種東海製紙株式会社主催「第30回紙わざ大賞」学生賞

 


                  

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