この度、バンタンデザイン研究所 キャリアカレッジ フォトグラフィコース卒業生の野村友彰さんがAPA(Advertising Photographers’ Association)アワード2022「写真作品部門」に入選しました!
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APAアワードとは・・・?
白鳥 真太郎氏を会長とする「公益社団法人日本広告写真家協会公募展(APAアワード)」は1961年より開催されている歴史ある写真の公募展。広告写真の向上を目的に写真の公募を行い、これまでも著名な写真家を広告界へ多く輩出しています。新たな写真表現と優れた写真表現を社会に披露しつつ、広告写真家への『登竜門』という役割を担って現在に至っています。
実際の広告として世の中に流通した作品を募集する「広告作品部門」。写真家の新たな表現への挑戦を募集する「写真作品部門」の2部門があります。
世の中は今や空前の画像時代。
スチール、動画を問わず、あらゆる人が画像をつくり、発表する場を持つにいたっています。
そのような莫大な数の画像の中で支持されるのは、単にきれいな絵であったり、単にうまい絵などではなく、心を動かす強い絵です。今回は「心を動かす写真」を募集します。
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「写真作品部門」の本年度募集テーマは『しゃしん』。
写真作品部門審査委員長に竹内万里子氏、審査員にはフォトグラファの高橋ヨーコ氏、大和田良氏、平野タカシ氏、中野敬久氏と錚々たる顔ぶれが並びます。
入選の知らせを受けた野村さんにさっそくインタビューをさせていただきました!
――この度は、入選おめでとうございます!今のお気持ちはいかがですか?
ありがとうございます! 入選と聞いて本当に嬉しかったです。
今回は写真作品部門で『しゃしん』というテーマだったのですが、こういった賞に応募するときは「本当に自分が好きで格好いいと思えるもの」を撮って受賞したいと思っていています。変に考えすぎてしまうと「受賞しやすそうな作風」となってしまい自分らしさがなくなってしまうと思ったので、純粋に良いなと思える作品を選んだのですが、それが入選となりとても嬉しいです。
僕が所属しているスタジオでは、全員が何らかの賞をとって独立しているので、入選の連絡がくるまでは正直プレッシャーもあったのですが、今はほっとしています。
入選の連絡をうけて、幼馴染や一緒にワークスをつくっている仲間、バンタンでお世話になった山田講師にも報告させていただき、山田講師からは「俺より先に入選するな!」とお祝いの言葉をいただき、喜んでくれました。自分の自信にもつながりましたね。
――この作品を制作するにあたってのエピソードを教えてください。
もともと自分が小さい頃から格好いいと思っていたものを、現在の自分が再解釈して格好よく撮ろうと考えました。好きなフォトグラファの作品でクワガタムシを撮ったものがあるのですが、そのオマージュとしてカブトムシを撮りました。撮影したときは個人的にアングルにこだわっている時期で、ほぼ真横からという撮り方をしました。さらにもう少しビジュアルのインパクトが欲しいと考え、対になるクワガタムシを逆さのアングルで撮影しました。グラデーションは潰してほぼ二階調でモノクロ現像しています。
――現在は、スタジオで働かれているんですよね。普段はどのようなお仕事をされていますか?
僕の働くスタジオでは物撮りが多く、撮影する商品数も膨大なため、1日中通しての撮影になることがほどんどです。すべての商品を統一した雰囲気で撮影するために、はじめのライティングにとても時間をかけています。
その他、広告やWEBなど物撮りも人物撮影も様々な撮影がありますが、事前の打ち合わせで「どのようなコンセプトで撮影するのか」「何を伝えたいのか」などしっかり話し合ったうえで撮影に臨みます。大きな案件になるとアートディレクターの方が加わることもあります。
スタジオの空いている時間は自由に使用していいことになっているので、積極的に作品づくりができる環境なのがとてもありがたいです。
あとは仕事の合間で、作品撮りもしますし、ボランティアなどでも撮影に携わらせていただける機会があれば参加するようにしています。先日も渋谷・原宿を拠点としたオークションハウス“New Auction”のカタログ撮影をお手伝いさせていただきました。
――お仕事で大変だったエピソードは?
24時間を超える撮影や複数のスタジオをハシゴしての撮影、ロケでは大雨の中での撮影など、一通り大変な撮影は経験したと思います(笑)あとは、水の使用が可能なスタジオなので、水浸しになるような案件も多いですね。
――面白い!と感じるときはどんなとき?
未発表の商品など、普段なかなか見られないものが見られるのは面白いですね。貴重な機会だと思います。またアシスタントにつきながらチームで撮影する際、撮影手法や技術面では日々勉強になります。新しい方法を知ったときはワクワクしますね!自分の作品にも取り入れてみよう!と制作意欲が湧いてきます。
――お仕事の際、気を付けていることは?
スタジオではチームワークが大切なので、カメラマンから見えづらくなっている部分やモデルさんのポージングによって変化するライティング、ピント調整など機材関係のチェックに気を配ります。
自分としては、“アイディアの引き出し”はたくさん持っておこうと思っています。一辺倒な撮影スタイルではなく、ライティングに何かをかませたり、ポージングに変化をつけたり常に新しさを表現できないか考えながら仕事に臨むようにしています。
――バンタンでの授業が役立っていると感じる点はありますか?
まさに先に述べたような、ベーシックな撮影手法だけでなく、普通はやらないようなアイディアを盛り込んだ実習があったことです。授業ではそんなやり方があるのかと驚きましたし、これをきっかけに、撮影経験を積む度に視野が広がり、新しい発見をしながら必然的にアイディアの引き出しが増えていくようになりました。
「伝えたいメッセージ・テーマ・コンセプトにあわせた魅せ方」を考えることが一番大切なので、この場合はこう撮影しなければいけないという固定観念にとらわれない考え方が身に付いたのはバンタンと山田講師のおかげだと思います。
――先日、バンタンの同級生ブランドのイメージフォトを撮影されたとか。
そうなんです。バンタンの同級生である東勇成(ひがし ゆうせい)君がスタートした『_ylid_(イリド)』というアパレルブランドのイメージフォトを撮影させてもらいました。彼はファッションデザインコースに通っていたのですが交流会で知り合ってから卒業後も連絡をとりあう仲です。他にも同級生にモデルを頼んだりバンタンで得た横のつながりでクリエーションの幅が広がっています。ヘアメイクやグラフィックなど、クリエイティブをするうえで、どれもフォトグラファとの関連が深い分野なので。
今回は服のデザインの中に蟻のグラフィックが使われているのですが、プロジェクターで同じグラフィックを投影させて撮影しています。これもバンタンで学んだ面白い撮影手法のひとつですね。
――人物撮影の際、撮影をスムーズに進めるポイントはありますか?
自分はモデルさんとたくさん喋るタイプですね。結構うるさいと思います(笑)はじめは緊張感があった現場もたくさんコミュニケーションをとることで段々と心を開いてくれるので、僕自身はそういう時に切り取った表情が好きですね。授業でも例えばモデルさんが好きな音楽をスタジオで流すことで良い表情が生まれたりするので、そういう環境づくりはめちゃくちゃ重要だと思っています。
――幼馴染と一緒に制作活動をされているとうかがいました。
そうなんです。もともと幼馴染がスニーカー好きで、その影響で僕もスニーカーが大好きになりました。彼は靴をつくるために専門学校へ通い、僕は靴を格好よく撮るためにバンタンに通いました。今はお互いに卒業して靴のデザイナー、フォトグラファとして活動しているので、彼がデザインした靴を僕が撮影するという形で一緒に切磋琢磨しながら活動ができています。
実はこの撮影のときに、幼馴染とすごい喧嘩をして言い合いになったのですが、その時に「ちゃんと自分なりの視点がないとダメだな」と気づきました。依頼された仕事だからといって言いなりにただ撮影するだけでなく、きちんとフォトグラファとしての意見を持たないと良いものは作れないと再確認しました。結果的にこういう機会があってすごく良かったと思います。今は絶対負けたくない奴の一人です。
今回はバスケットシューズなのですが、バスケットボールの廃材をシューズのアッパー(甲革)として使用しているのが特長で、この素材感をしっかり伝えるためにハイライトの入れ方を工夫しました。ひとつひとつの粒にきちんとライトがあたり、かつ綺麗なグラデーションになるようにライティングにはかなり試行錯誤して撮りました。この撮影後にもっとこういう撮影方法もあったなとどんどんアイディアが湧いてきて、最近はより一層面白いと思えるようになってきました。
自分にとってスニーカーの最大の魅力は「履き心地」なのですが、これを写真としてどう表現するかを模索しています。 “格好いい“はもちろんなのですが、「軽さ」や「走りやすさ」などビジュアルとしてどう表現していくのが良いのか、最近やっと少しずつわかってきました。
――ご自身の写真表現で「自分らしさ」とはどのような点だと考えますか?
正直まだまだ迷っていますし見つかりきってはいないのですが、現状では「面白さ」なのかなと思っています。「こういう写真よくあるよね」といった印象に残らない写真にはしたくない。画ヂカラというか力強さというか観た人の記憶に残るような視点の面白さのある写真になるように心がけています。
今は、SNSやスマートフォンの普及もありプロアマ問わずフォトグラファ人口が増えています。誰でも気軽に写真が撮れる時代なので、「自分らしさ」を表出して差別化をしていく必要があると考えています。
――今後の目標は?
通常はスタジオで数年程度働き、その後師匠を見つけてアシスタントとして数年経験を積んでから独立という流れが多いと聞きますが、キャリアの築き方は人それぞれだと思います。
僕としても次のステップを模索中ではありますが、どのようなキャリアに進むにしてもまだ圧倒的に作品数が足りていないので、今は仕事の合間をぬって自分の作品を撮影して増やしている段階です。作品数が増えてきたら個展も開催したいですね。それと、最近は映像ニーズも高まっているので、映像の経験もしたいと考えています。
ただ一番の目標としては、もともと僕が写真を目指そうと思ったきっかけが、スニーカー好きが高じて「靴の写真を格好よく撮りたい!」というところからというのもあり、靴の写真で賞をとりたいです!靴を撮るフォトグラファとして世界的に有名なりたい。まだまだ道のりは長いかもしれませんが、目指して精進していきます!
【PROFILE】
野村 友彰(のむら ともあき)
バンタンデザイン研究所 キャリアカレッジ フォトグラフィコース卒業。在学中から就職活動をはじめ、卒業後は株式会社スタジオディーツーワンへ入社。APA(Advertising Photographers’ Association)アワード2022写真作品部門 入選。
Instagram:https://www.instagram.com/00nomuradesu/