「ファッションデザイン卒業生 山内瑞葉さんブランド「Mizuid」POPUPSTORE&バンクーバーで開催されたRUNWAYの様子をインタビュー 」 

卒業生
東京校
ファッションデザインコース

ファッションデザインコース卒業生の山内瑞葉さんがデザイナーをつとめるアパレルブランド「Mizuid」が中目黒でPOPUPSTOREとバンクーバーでRUNWAYを開催されましたのでお話を伺ってきました!

 

──POPUPSTOREの開催おめでとうございます!今シーズンのテーマをお聞かせください。

「ありがとうございます。 2024年春夏のテーマは
『“Engraved Time with the Sea Breeze” 海に吹く風、刻まれるもの。
遥か遠くから海を渡ってきた風は、海岸の岩肌にゆっくりと時を刻む。
やがて流れ薄れども、時も、人の想いも、たしかに刻まれていくこの世界を感じて。』
長い年月をかけて海岸に形成された地層の美しく神秘的な形からインスピレーションを得てコレクションを制作しました。海岸風景を連想させる全体のカラー構成や、風合いの異なる生地の組み合わせ、今シーズン新作のオリジナル柄をプリントしたオーガンジー生地など、ディティールやシルエット全体でコンセプトを表現しています。」

──今シーズンのテーマ もとても印象的でしたが、デザインやアイテム制作でこだわったポイントなどお聞かせください。

「先ほどお話ししたコンセプトに沿って様々なこだわりを詰め込んでいますが、今回Mizuidとしては新しく取り入れた天日干しの天然素材系の生地が細かく効いているポイントになっているかと思います。いわゆる『洗いざらし感』のある少し粗さのある生地ですが、無地でも素材本来の味のある風合いが生き、こうした生地を随所で使用することで、今回のコンセプトである自然の風景をより感じて頂きやすくなっているのではないかと思います。また、天日干し生地は、生地の加工工程で通常より水や電力の使用が抑えられるサステナブルな生地でもあるので、そういった意味でもMizuidが描く世界をより深めてくれる生地だと思っています。
さらに、今回のコンセプトに合わせて作ったオリジナルプリント柄のオーガンジーについても少しお話しさせて頂きますと 、透け感のある生地に淡めの色でニュアンス系の模様をあしらっているので、遠目では模様自体ははっきりとは見えないかもしれませんが、透け感のある素材でも甘くならずにメンズでも馴染むデザインになっているのは実はこのプリントがポイントになっています。模様自体もなかなか他には見ないMizuidらしい柄になっているので、ぜひ機会がありましたら近くで見て頂けると嬉しいです。」

▼オリジナルプリント柄のオーガンジーを使用したアイテムとデザイナーの山内さん

──今回のPOPUPSTOREで展示されているアイテムは、昨年秋に行われたバンクーバーのRUNWAYで発表されたコレクションですよね。ランウェイショーに向けたコレクションということでアイテムの制作で力を入れたのはどういったところですか?

「RUNWAYで歩く姿を想像しながらの制作は、これまでのルック写真や動画での発表を想定した場合と全く異なるアプローチでした。今回発表したルック数はレディース10体、メンズ6体。アイテム点数としてもこれまでの3倍近くになりました。RUNWAYにルックが登場した瞬間に観客に何を感じてほしいか、どこを見てほしいか、また、連続して歩いていく全体の流れを見てどんな気持ちになってほしいか。いつも以上に立体的に想像を膨らませて、デザインから生地・資材の選定、細かな仕様まで固めていきました。特に難しかったのは、RUNWAYでの見映えと、実際に日常で着たくなる服としてのバランスをどう作るかという点です。Mizuidの服は、限られたラグジュアリーシーンを彩るものではなく、日常を彩るものでありたいので、ショーとしてコンセプトを感じてもらえるものでありながらも実用性を保たなければなりません。デザインの際に、コンセプトに合わせてイメージを広げては、実用性を意識してそれを削ぎ落とし細かくチューニングするというプロセスを何度も重ねました。」

▼中目黒で開催されたPOPUPSTORE

▼2024年春夏コレクションLOOK

──実際にRUNWAYを経験されて印象に残ったエピソードなどはございますか?

「RUNWAYでしか作り出せないコミュニケーション、RUNWAYでしか得られないフィーリングがあることを肌で感じることができたのが1番大きかったです。モデルもスタッフも観客もその日限りの一期一会で、そこに集まるすべての人たちと空間を共有し一緒に作り上げている感覚がありました。
生のイベントなので無事にショーが終わるまで本当に1つ1つに気が抜けず、少し長めに用意していたはずのBGMも、リハーサルでいざ流してみると尺が足りずにフィナーレの途中で途切れてしまうようなハプニングもありました。モデルも当日その場で選ばせて頂く形だったので、雰囲気とサイズのフィット感、全体としてのバランスも短時間で決断しなければならず、ウォーキングの演出も合わせて想像力と判断力を試されるような時間でした。結果的に本番では、すべて綿密に用意したかのようなバランスで、音楽も完全に尺通りにデザイナー挨拶まで終了することができたという奇跡は、本当に思い出深いですし、一緒に作り上げて下さったすべての皆様に感謝の気持ちでいっぱいです。」

▼Youtube
https://www.youtube.com/watch?v=hS5yPImdu4E

──会場や周りの方の反応はいかがでしたか?

「ショーのラストに人生で初めて『Bravo!』という言葉を頂けたのが、特に日本ではなかなか出会えない瞬間だったのでとても記憶に残っています。ショーが終わった後の少しの交流時間も、ショー後のSNSのDMやメールでも色々な方々から嬉しいお言葉をいただきました。Mizuidの服を着たモデルさんたちが生き生きと輝いていたのもとても印象的で、観客の方々ともたくさん写真を撮って頂いていたのが嬉しかったです。
日本で動画を見て頂いた皆さんからは、最後のデザイナー挨拶のところにたくさんの反応を頂きました。あの瞬間デザイナー本人は、音楽の尺に間に合わせられるかで頭がいっぱいではありましたが(笑)、RUNWAY に飛び出した時にたくさんの方々が温かい声援を送ってくれた光景は特別なものでした。
Mizuidというブランドを作っているのは自分でも、そこに価値を与えてくれるのは見て下さったそれぞれの皆さんで、価値を見出してくれる方々がいるからこそデザイナーはデザイナーでいられることをあの時から特に強く実感するようになりました。」

──雑誌などでも「Mizuid」のアイテムがスタイリングで使用されていたりと、活躍の場を広げられている今、感じているお気持ちをお聞かせください!
「実はデザイナーとしてようやくスタートラインに立てたような気持ちで、先を思うとまだまだ果てしない道のりに気が遠くなるような感覚が正直なところです。それでも何よりMizuidの服を着て頂ける方々が少しずつ増えていっていることが本当に嬉しいですし、Mizuidの服に触れて頂いた1人1人に喜んで頂けるような服を作っていけるように、引き続き心を込めて仕事をしていきたいと思います。」
▼掲載雑誌のご紹介をしてくださった山内さん

──最後に、今後のビジョンをお願いします。

「国や性別や年齢に関わらず、Mizuidが届けるものに心を動かして頂ける世界中の方々と繋がっていけるように、一歩一歩できることを積み重ねていきたいと思います。1つ新しい世界に踏み込むと、想像もしなかったような出来事、出会いが広がることをブランドを始めてから何度も経験してきました。これからもそうした偶然の出会いを楽しんでいきたいと思います。」

ブランド立ち上げから、わずか一年で日本にとどまらず海外でのRUNWAYに出場されるなど、活躍の場を広げられている山内さん。前回のインタビュー時に宣言されていたことを実現される姿に感動いたしました!これからも、さらなる活躍が楽しみですね。

【PROFILE】
山内 瑞葉
1992年生まれ。九州大学農学部、大学院修士課程を修了後、大手広告代理店に入社。
会社員として働きながら週末にバンタンデザイン研究所 キャリアカレッジにてファッションデザインを学び、卒業の2022年に個人で『Mizuid』を立ち上げる。
オンラインを拠点にコレクションを発表し、定期的に日本国内でPOP-UP等を展開。2024春夏シーズンではVancouver Fashion Weekより公式オファーを受け、ブランド初となるランウェイショーを海外で実施。
Instagram https://www.instagram.com/mizuid_official/

●過去のインタビュー記事はコチラ
(1stコレクションやブランド立ち上げについて)
https://www.vantan-career.com/blog/20221003/24035/
(2023年春夏コレクションPOPUPイベントインタビュー)
https://www.vantan-career.com/blog/20221003/24035/

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